やればできるのにやらない・言われないとやらない子どもの心理と対処法
子どももおとなも、やればできるのにやらないことがあります。これってちょっともったいないですよね。せっかくできるのにどうしてだろう、と育児をしていて感じませんか。
そこで今回は、やればできるのにやらない子どもの心理とおすすめの対処法をまとめます。
やればできるのにやらない子どもの心理・理由とは
やればできるのにやらない子どもの心理・理由について解説します。
考えられる理由や心理は次のとおりです。
- 失敗を恐れているから
- 必要性を理解していないから
- 他にやりたいことがあるから
- 集中できないから
- やる前から難しいと思い込んでいるから
- やればできることを知らないから
くわしく解説していきます。
失敗を恐れているから
やればできるのにやらない子どもの心理は、失敗を恐れていることです。
失敗は誰しもが避けたいですよね…。失敗への恐怖心が強いと、やる前から失敗を避けようとすることがあります。過去に失敗経験があり、それがトラウマになっていると、やりたがらないことも。
たとえば自転車の練習。保護者が後ろで支えながら練習することもあるでしょう。一度転んだ経験があると、練習をしたがらないこともあるのです。
ピアノやダンスの発表会で失敗をした経験があると、「もう発表会は出ない」と言い出すこともあり得ます。
これはおとなも同じです。みなさんも一度失敗した経験があることは、次やるときに不安を感じませんか。
わたしは小学校1年生のときのピアノの発表会で、突然頭が真っ白になったのか手が止まってしまったことがあります。子どもなりに、これはもうだめだと思い、少しアレンジをして弾いたことがあります。おそらく手が止まったのは、5秒以内だったと思いますが、すごく怖かったです。(このときの発表会のビデオはお蔵入り)
次の発表会には出たくないなと思った記憶がすごく残っていて、結局親や先生の説得から発表会やコンクールに出ましたが、おとなになった今でも、「本番で頭が真っ白になったらどうしよう…」と思うことがあります。
必要性を理解していないから
やればできるのにやらない子どもの心理は、必要性を感じていないことです。
やるべきことの必要性を子どもが理解していないと、特にやらなくていいから遊んでしまおう! と子どもが思うこともあります。
よくある例だと宿題です。宿題は、学校の授業の理解を補うために必要なもの。また、理解度を確認するためにも必要なものです。しかし、この宿題の必要性を理解していなければ、子どもが宿題をやらないこともあります。
他にやりたいことがあるから
やればできるのにやらない子どもの心理は、他にやりたいことがあることです。
オモチャで遊ぶ、ゲームをする、友だちと遊ぶなど、もっとやりたいことがあれば、やればできてもやらないことがあります。やりたい他のことを優先させてしまうのですよね…。
計算ドリルが宿題に出されていたとしましょう。ドリルの途中までスムーズに問題を解いていたのに、途中からオモチャで遊ぶ出してしまうことがあります。オモチャなど、子どもの興味があるものが視界に入ると、そちらが気になり、やるべきことを最後まで続けずに、やめてしまうことがあります。
集中できないから
やればできるのにやらない子どもの心理は、集中できないことです。
集中できないことには、さまざまな要因があります。本人の要因としては、体調不良があるでしょう。お腹や痛い、頭が痛いとおとなでもなかなか集中できませんよね。子どもも同じです。
また、環境的要因で子どもが集中できないこともあります。騒音があると集中することは難しいです。机の上が散らかっていることでも集中ができずに、やればできることでも子どもがやらないこともあります。
子どもの集中力は、おとなのそれよりも短いとされていて、10分から15分くらいです。途中休憩を挟みながら子どもを集中させたいですね。
やる前から難しいと思い込んでいるから
やればできるのにやらない子どもの心理は、やる前から難しいと思い込んでいることです。
みなさんは、めんどくさそうだな、難しそうだなと思って後回しにしていた仕事を、実際にやってみたら実はかんたんだった! という経験はありませんか。
人は、やる前から難しいと想像してしまうこともあります。難しいことはなるべく避けたいという気持ちから、やらないことがあるのです。
やればできることを知らないから
やればできることを知らないため、やらないこともあります。
「どうせできないから、やるのはやめよう」と子どもが諦めてしまうこともあるのです。これは過去の失敗体験や自己肯定感・自己評価の低さも関係しています。
子どもには高い自己肯定感を持ってほしいですよね。日頃から子どもをこまめに褒めて、自己肯定感をアップさせましょう。
実力を過信しているから
やればできることを知らなくて、やらない子どもがいると書きましたが、反対に実力を過信していて、やらないこともあります。
自分がやればできるだろうと思い込んでいると、いつまで経ってもやらないこともあるのです。
たとえばダンスの練習。ダンススクールのクラスのなかで上手な子どもだと、「自分は上手だから、別に家で頑張って練習しなくても大丈夫」と思ってしまうことがあります。
しかし、練習をしていなければいずれ他の子に抜かされてしまうこともあるでしょう。よいポジションで踊れないこともあります。ソロに選ばれないことも…。
自分に自信を持つことは大切ですが、過信はよくありません。やるべきことはできるようにさせたいですね。
「やればできる」は言い訳にならない
やればできるのにやらない子どもは、たくさんいます。育児をしていて、「やればできるのに、どうしてやらないのだろう」と感じたことのある保護者は少なくないでしょう。
「やればできるなら、まだいいか」と思うこともあるかもしれませんが、「やればできる」ことは言い訳にはなりません。
たとえば、剣道の試合で実力が発揮できずに負けてしまったとします。そのときに保護者が「実力が出せたら勝てたのにね」と励ましたくなる気持ちもわかりますが、これはおすすめしません。
「やればできる」ことは負けの言い訳にはならないのです。
やればできるのにやらないことも実力のうち、と考えてください。試合に勝った子どもは、「やればできるからやった」、「やったから勝てた」はずです。「本気でやれば、勝てるんだから負けてもいいや」という考えを子どもに持たせないようにしましょう。
子どもが「自分はやればできるだろうから、やらなくてもいいんだ」と考えてしまうおそれがあります。そのまま成長すると、常に実力を出さないおとな、努力しないおとなになるので、声かけには注意をしてください。
では、次でやらない子どもへの対処法や声掛けをおすすめします。
やればできるのにやらない子どもへの対処法や声掛け
やればできるのにやらない子への声かけや対処法を解説します。
- やらない理由を聞く
- 「まずはやってみよう」と伝える
- 「やりなさい」とは言わない
- できることを明示する
- スモールタスクを作る
- 「失敗してもいい、できなくてもいい」と伝える
- 目標を設定する
- 子どもと一緒に保護者もやる
- いつやるか宣言させる
やらない理由を聞く
やればできるのにやらない子どもへのおすすめの対処法は、やらない理由を聞くことです。
宿題をしなさいと言ってもやらない場合は、どうしてやらないのかその理由を聞きましょう。このとき、イライラしながら「もー、なんで宿題やらないの!?」とイライラすることもあるかもしれません。
しかし、イライラして子どもに聞くと、「宿題」と「怒られる」ことが結びつき、宿題にネガティブなイメージを抱きます。可能な限り落ち着いたトーンで、「どうしたの? 宿題をやりたくない理由があるの?」と質問をしてください。
理由がわかれば、最後までやらせるヒントが出てきます。
たとえば、宿題をやらない理由が「よくわからないから」の場合は、学校の授業についていけていない可能性が高いので、できる限り保護者が勉強を教えるなどをして対応してください。
なんとなくやりたくない | まずは少しでもいいのでやらせてみる、とっかかりを作る |
難しそうでやりたくない | やってみてから難しいと判断させる、「難しいかどうか、まずはやってみよう」と声をかける |
やり方がわからない | 子どもができるようにサポートする、勉強のやり方がわからない場合は、可能な限り教えてサポートする |
どうしてやらないといけないのかわからない | 理由や必要性を説明する |
「まずはやってみよう」と伝える
やればできるのに子どもがやらないときは、「まずはやってみよう」と声をかけることです。
物事を始めるには最初の「とっかかり」が重要です。
掃除が苦手な方であれば、「明日掃除をしよう」と思っても、なかなかやる気がでませんよね。やる前からめんどくさそうだな、と思ってしまいませんか。しかし、一度掃除を始めると、スイッチが入ったように没頭した経験もあるでしょう。
やる前から嫌なことでも、少しだけやってみると続けられることもあります。最初のとっかかりが大切なのです。
たとえば宿題で計算ドリル20問が出たとしましょう。子どもが「20問なんて多いし、やりたくないな」と感じて後回しにしてしまうこともあります。これは勝手に子どもが「20問=多い」、「20問=大変そう」と感じているのです。しかし、2問~3問ほど解いてみると、子どもが「あれ、なんだかできそうかも」と思うことがあるので、「まずはやってみよう」と伝えるのがおすすめです。
ピアノの練習をなかなかやらない子どもであれば、まずはピアノのフタを開ける、イスに座る、楽譜を開くだけでもOKです。「とっかかり」だけでもやらせて、様子を見ましょう。
「やりなさい」とは言わない
やればできる子どもには、つい厳しく「やりなさい!」と言いたくなるかもしれませんが、こちらはおすすめしません。
命令形だと、かえって子どものやる気がなくなります。
アンダーマイニング効果といって、物事を外発的にやらされればやらされるほど、子どもが自ら取り組む意欲やモチベーションが弱くなるのです。
子どもが自らやりたくなるような声かけをおすすめします。
できることを明示する
やればできる子どもは、自分がやればできることを理解していない可能性があるので、できることを明示しましょう。
たとえば、自転車の練習で、すでにもう補助輪なしでひとりで乗れているにも関わらず、練習を嫌がっている場合は、すでに自転車に乗れていることを伝えましょう。ひとりで自転車に乗れている動画を見せて、「ほら、もうこんなに上手だから、大丈夫だよ。やってみよう」と伝えましょう。
宿題の計算ドリルも、まずは数問だけでいいので解かせてください。数問解いてみたところで、「すごいね、ちゃんと解けているよ。きっと最後までできるから、もう少しやってみよう」と声をかけることをおすすめします。
できないと思い込んでいる子どもには、「自分はできるんだ」ということを理解させてください。自信もつきます。
スモールタスクを作る
やればできるのにやらない子どもには、スモールタスクを作りましょう。
宿題であれば、
- 3分だけ机に向かう
- 5問解いてみる
- ペンポーチ、ノート、教科書など机の上に出して宿題をする準備をする
などです。
スモールタスクを作り、それを子どもが達成したら、褒めましょう。これで達成感が味わえ、子どもがやる気を出すでしょう。
「失敗してもいい、できなくてもいい」と伝える
やればできるのにやらない子どもには、「失敗してもいい」、「できなくてもいい」と伝えましょう。
過度に失敗を恐れている子どもや、失敗経験からトラウマになっている子どもは、「失敗が悪いこと」だと考えている可能性があります。
失敗してもいいこと、できなくてもいいことを伝えましょう。大切なことは、結果ではなく過程です。
子どもが失敗をおそれずにチャレンジできるように、声かけをしましょう。
「失敗はしてもいいんだよ。怖がらず頑張ってみようね」と声をかけるのがおすすめです。
目標を設定する
やればできるのにやらない子へのおすすめの対処法は、目標を設定することです。
目標があれば頑張れますよね。
- 次のテストで80点以上取る
- 自転車に乗って家族で買い物に行く
- ピアノの発表会では暗譜をする
など具体的な目標を掲げてください。目標が高すぎると、子どもが「どうせできないだろう」と思ってやらないことがあります。子どもが努力しやすいように、頑張ったら達成できる程度の目標を掲げることをおすすめします。
なかなかやらない子どもには、褒美も設定するのもおすすめです。褒美があるとやる気を出す子どもはたくさん。もので釣るのはよくありませんが、それがきかっけになってやれる子になるように工夫してください。
いつやるか宣言させる
やればできるのにやらない子どもには、いつやるのか宣言させるのもおすすめです。
やや強制的ですが、なかなかやらない子どもには「いつまでにそれはやるの?」と聞いてください。「〇時までにやる」、「〇曜日までに終わらせる」など具体的なデッドラインを決めて、子どもに宣言させましょう。
宣言したからにはやらないと、と子どもが思うはずです。
子どもと一緒に保護者もやる
子どもと一緒に保護者もやることもおすすめです。
「〇〇ちゃんが宿題をする間、パパはお仕事をするから一緒に頑張ろう!」と声をかけてみましょう。
保護者がよいライバルになり、やる気を出すことがあります。
宿題であれば、隣に付き添って様子を見ることもおすすめです。
子ども部屋で普段から宿題をする子の場合、保護者から離れたくない気持ちから勉強を嫌がることもあります。自室での勉強に寂しさを感じている場合は、リビングで宿題をやらせて、近くで保護者が見守るのもおすすめです。
やってみたらできなかったときの対処法
できると思って、やってみたらできないこともあります。
この場合は、子どもの努力の過程、チャレンジしたことを褒めましょう。
「一生懸命練習できたね」、「毎日欠かさず頑張れたね」、「ここまで一生懸命やっていて、ママびっくりしたよ」、「いっぱい頑張れて偉かったね」と褒めてください。
子どもの年齢に応じて、一緒に失敗の原因を考えましょう。
失敗からは自分の弱点を見つけることができます。次は弱点克服のために練習をするとよいでしょう。
失敗は悪いこと、恥ずかしいこと、と子どもが思わないように、「失敗してもいいから、チャレンジすることが大切」だということを伝えてください。
YTJで言われなくてもできる子どもになるのか
わたしの娘はYTJに通っています。
YTJは、ユースシアタージャパンの略で、ミュージカル劇団です。習い事ではなく、YTJのコンセプトに同意したメンバーがパートナーシップ契約をして一定期間活動します。(1年更新です)
歌、英語、ダンスのレッスンが受けられますが、フォローレッスンとしてバレエのレッスンもあります。
わたしは娘をYTJに通わせて2年以上が経過していますが、娘がずいぶん成長したなと感じています。
YTJはメンバーの自主性を促すように指導をしているのが特徴で、スタッフはあまり「やりなさい!」と言うことはなく、子どもに「今はなにをしなければいけないのかな?」と声をかけて考えさせるようにしています。
これは厳しい一面もあって、練習時間が足りていないメンバーは、本番の出演時間や配役、立ち位置に影響がでます。練習しない子は、それなりの本番になってしまうこともあるのです…。
YTJの厳しい一面はこちらの記事でくわしく書いています。
入会前に知ってほしい!YTJの禁止事項や厳しいルール – 音楽・ダンス教育ママの体験日記 (kyoikumama.com)
YTJでは自主的に子どもが行動しないと、レッスンや本番に影響がでるため、自然と自分から行動をするようになる子どもが多いです。
忘れ物をするとレッスンで困ることがあります。たとえばレッスンウェアを忘れたら、その日に着る服がなくて困ってしまいますよね。本番で衣装を忘れたらもっと大変です。日頃から忘れ物をしないように、レッスンで意識するように指導されています。
YTJには、選抜クラスがあり、このクラスはみんなの憧れ。選抜クラスの打診を受けるためには、ダンス、歌、英語のスキルがあるだけでなく、忘れ物をしていないかなどの行動面もチェックされます。
娘はYTJに入ってから、言わなくてもYTJのレッスンの前日に荷物を自分から準備するようになりました。
特に合宿に参加してからは、布団を畳むようになった、宿題を自分からやるようになった(毎回ではないですが…^^;)など成長が見られています。
YTJでよくパフォーマンスをしたい気持ちが強いみたいで、家でも自分から練習していて、ダンスのステップを確認する、歌詞を覚える、お風呂上りにストレッチをするなど、頑張っています。
保護者仲間から聞いた話ですが、YTJの合宿に参加したことで、夜ひとりで寝られない子どもが、ひとりで寝るようになったそうです!
なぜそんなことができるようになったのか保護者が子どもに聞いたところ、合宿で「夜はひとりで寝ている」とみんなが言っていたからみたい。
YTJには合宿があります。年齢の異なる子どもと一緒に生活をすることで、自主性が成長します。自らやれる子どもにさせたい方にはおすすめです。
興味がある方はぜひYTJに子どもを入れてみませんか。
ちょうど現在新規メンバーの募集をしています。
くわしくはこちらから。
応募締め切りは、2022年11月27日(日)です。
YTJってどんなところ? と思って検索してもおそらくあまりヒットしないかと思います。
ネット制限があるわけではありませんが、レッスン中の撮影、本番の撮影がNGなので、あまりSNSにアップする保護者はいないみたい…。
入会前にYTJについて知りたい場合は、ぜひこのブログの過去の投稿もチェックしてくださいね。
まとめ
やればできるのにやらない子どもの理由や心理、保護者ができる対処法をまとめました。
やればできるのにやらない理由や原因は次のとおりです。
- 失敗を恐れているから
- 必要性を理解していないから
- 他にやりたいことがあるから
- 集中できないから
- やる前から難しいと思い込んでいるから
- やればできることを知らないから
おすすめの対処法は、次の9つです。
- やらない理由を聞く
- 「まずはやってみよう」と伝える
- 「やりなさい」とは言わない
- できることを明示する
- スモールタスクを作る
- 「失敗してもいい、できなくてもいい」と伝える
- 目標を設定する
- 子どもと一緒に保護者もやる
- いつやるか宣言させる
やらない原因によっておすすめの対処法は異なります。まずはなぜやらないのか子どもに聞きましょう。